ハンドメイド作品を販売していると、「確定申告は必要?」「いくらから申告するの?」と迷うことがあります。
ただし、売上があれば誰でも同じように確定申告が必要になるわけではありません。売上から必要経費を差し引いた所得、給与の有無、ほかの所得、控除などによって確認するポイントが変わります。
この記事では、ハンドメイド作家が申告の必要性を確認するときの考え方、収入と経費の記録、提出までの準備を整理します。税務上の個別判断は、国税庁の最新案内や税務署、税理士などに確認してください。
とも先生確定申告は「売上」だけで決めず、所得と自分の状況を分けて確認しましょう。
ハンドメイド作家に確定申告は必要?まず知っておきたいこと
確定申告が必要かどうかは、ハンドメイドの売上だけで一律に決まりません。まずは「売上」と「所得」を分けて考えます。
- 売上:作品や講座などを販売して受け取った金額
- 必要経費:材料費、販売手数料、送料など、活動に必要な支出
- 所得:売上などの収入から、必要経費を差し引いた金額
さらに、給与を受け取っているか、ほかの副収入があるか、還付を受ける事情があるかなどで確認事項が変わります。国税庁の給与所得者向けの案内にも一定の条件での説明がありますが、給与所得者以外にも同じ基準をそのまま当てはめられるわけではありません。
「20万円以下なら必ず申告不要」「48万円以下なら必ず申告不要」といった数字だけで結論を出すのは避けましょう。所得の種類、ほかの所得、控除、住民税の申告などを含めて、該当する年度の公式案内で確認する必要があります。
申告の必要性を判断する3ステップ
1. 自分の働き方と所得の種類を整理する
会社員、パート、アルバイトなどの給与があるのか、ハンドメイドを主な活動としているのか、ほかの副収入があるのかを整理します。ハンドメイドの所得が事業所得に当たるか雑所得に当たるかも、活動の実態や継続性などを踏まえて判断する項目です。
2. 年間の売上と必要経費を集計する
販売サイト、イベント、委託先、講座などの売上を集計し、材料費、販売手数料、送料、出店料など活動に必要な支出を確認します。入金額だけを売上にしたり、口座への振込額だけを見たりすると、手数料や未入金分を見落としやすいため、取引単位で記録しましょう。
3. ほかの所得・控除・住民税の扱いを確認する
医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除などの事情がある場合、所得税の申告義務がないように見えても申告した方がよいケースがあります。また、所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告について自治体への確認が必要になることがあります。
ここまで整理しても判断できない場合は、国税庁の確定申告が必要な方の案内を確認し、必要に応じて税務署や税理士へ相談しましょう。
白色申告・青色申告・事業所得・雑所得を分けて考える
「白色申告と青色申告」は申告方法の区分で、「事業所得と雑所得」は所得の区分です。別の論点なので、最初から「ハンドメイドなら青色申告」「小規模なら雑所得」と決めつけないことが大切です。
白色申告と青色申告の違い
青色申告を選ぶには、対象となる所得や事前の申請、帳簿の作成などの要件があります。青色申告特別控除も、控除額ごとの要件を満たした場合に適用される制度です。「最大65万円」という数字だけを見て、誰でも同じ控除を受けられると考えないようにしましょう。
白色申告にも記帳や書類保存の義務があります。活動規模、記帳にかけられる時間、今後の継続予定を整理したうえで、国税庁の申告手引きに沿って選択してください。
とも先生青色申告はメリットだけでなく、事前手続きと日々の記帳まで含めて検討すると安心です。
収入と経費を記録する

確定申告の直前にまとめて思い出すのではなく、販売や購入があった都度、記録を残しておきます。最低限、次の項目を管理できるようにしておくと、後から確認しやすくなります。
- 取引日または入出金を確認できる日付
- 販売先・購入先・イベント名
- 商品名や内容
- 売上金額、販売手数料、送料、入金額
- 材料費、梱包資材、出店料などの支出
- 領収書、レシート、請求書、銀行・カード明細の保存場所
売上の記録例
たとえば、オンラインショップで作品が売れた場合は、販売日、商品名、販売価格、販売手数料、送料、入金予定額を一緒に記録します。イベント販売なら、イベント名と当日の現金売上・キャッシュレス売上を分けて記録すると、後で照合しやすくなります。
経費の記録例
材料、工具、梱包資材、販売手数料、発送費、出店料、撮影や広告に使った費用などは、活動との関係が説明できるように記録します。私用と事業用が混ざる支出は、全額を経費にする前に、事業で使った範囲と根拠を整理してください。
売上・仕入れ・在庫をまとめて管理したい方は、ハンドメイド作家の仕入れ・売上管理術も参考にしてください。売上の構造や利益の見方を整理したい場合は、ハンドメイド作家の収入と本業化の考え方につなげると、申告用の数字と事業判断を分けて考えやすくなります。
家賃・光熱費を家事按分するときの考え方
自宅で制作や事務作業をしている場合、家賃、電気代、通信費などの一部を事業に使っていることがあります。ただし、家事按分の割合は全員に共通する固定値ではありません。使用する部屋の広さ、使用時間、使用日数など、実態に合った合理的な基準で事業分を説明できるようにします。
- どの場所を事業に使っているか
- どの作業に、どれくらいの時間使っているか
- 面積・時間・日数など、割合の根拠は何か
- 請求書、領収書、明細、計算方法をどこに保管するか
「自宅の費用だから全額」「毎月同じ割合」と先に決めるのではなく、活動実態を記録して、年度ごとに見直せる状態にします。判断に迷う場合は、具体的な利用状況を整理して税務署や税理士に相談してください。
なお、家事按分は税務上の経費判断です。通信費やサブスクリプションなどの家計側の固定費を見直すこととは別の話なので、固定費の削減を検討したい方は、固定費 本診断の内容も確認してください。
確定申告の準備と提出方法

申告時期に慌てないよう、次の資料を日頃からまとめておきます。提出が必要な書類や保存方法は、所得の種類や申告方法によって異なるため、対象年度の案内で確認してください。
- 売上台帳、販売サイトや委託先の明細
- 材料費・梱包資材・送料・出店料などの領収書やレシート
- 銀行口座・クレジットカードの利用明細
- 家事按分を行う場合の計算根拠
- 控除を受ける場合の証明書類
- 青色申告を選ぶ場合に必要な決算書などの書類
申告書を作成する
申告書は国税庁の案内に沿って作成します。紙で作成する方法に加え、e-Taxなどオンラインで手続きできる方法もあります。利用条件や必要な本人確認手段は更新される可能性があるため、e-Tax公式サイトで現行の案内を確認してください。
提出後の資料を保存する
提出して終わりにせず、帳簿や証憑、申告に使った計算資料を決めた場所に保存します。保存期間や保存方法は、申告方法や書類の種類によって異なるため、国税庁の案内に合わせて管理しましょう。
開業届や青色申告承認申請書の提出時期が気になる方は、ハンドメイド作家の開業届と準備も確認できます。ただし、開業届を出したことだけで所得区分や申告の要否が決まるわけではありません。
会計ソフトを使うときの確認ポイント
会計ソフトを使うと、銀行口座やカード明細の取り込み、仕訳の候補表示、帳簿の作成などを効率化できる場合があります。一方で、自動提案された勘定科目や家事按分の割合が、そのまま自分の税務判断になるわけではありません。
- 販売サイトや銀行・カード明細を取り込めるか
- 手数料、送料、材料費を分けて管理できるか
- e-Taxへの対応や提出手順が現行仕様に合っているか
- スマートフォンで領収書や明細を確認できるか
- 料金、無料期間、サポート範囲が現行の公式情報と一致しているか
サービスを比較する場合は、機能や料金が変わることを前提に、公式ページを確認してください。会計ソフトの候補を確認する場合は、マネーフォワード クラウド確定申告の公式案内
も選択肢の一つとして確認できます。
ハンドメイド作家の確定申告でよくある質問
売上が20万円以下なら確定申告は不要ですか?
一律には言えません。給与所得者に関する一定条件の説明として20万円という数字が出てくることがありますが、給与の有無、ほかの所得、控除、還付、住民税などを含めた確認が必要です。自分の状況を国税庁の案内に当てはめて判断しましょう。
赤字でも申告した方がよいですか?
赤字の扱いは、所得の区分、申告方法、ほかの所得などによって変わります。赤字だから必ず申告不要、あるいは必ず有利になるとは限らないため、帳簿と支出の根拠をそろえて確認してください。
領収書やレシートがないと経費にできませんか?
支出の内容や事業との関係を説明できる資料があるかを確認します。銀行・カード明細、請求書、購入履歴などを含めて保存し、記録だけで判断せず、必要な証憑の扱いを公式案内や専門家に確認してください。
確定申告の相談先はありますか?
国税庁のウェブサイト、税務署の相談窓口、税理士などがあります。相談時は、売上台帳、経費の記録、銀行・カード明細、家事按分の計算根拠を準備し、どの年度のどの取引について困っているかを伝えると確認しやすくなります。
まとめ:売上ではなく所得と状況を分けて準備する
ハンドメイド作家の確定申告は、売上の金額だけで判断するものではありません。次の順番で準備すると、確認すべきことが見えやすくなります。
- 給与の有無やほかの所得など、自分の状況を整理する
- 売上と必要経費を取引単位で記録する
- 事業所得・雑所得、白色申告・青色申告を分けて確認する
- 家事按分をする場合は、実態と計算根拠を保存する
- 対象年度の国税庁・e-Tax案内で提出方法を確認する
本業化や収入の安定を考えるときも、申告のための数字と、事業を続けるための数字を分けて見ることが大切です。迷う点は自己判断で断定せず、公式情報や専門家への確認につなげてください。
