「材料はあるはずなのに、必要なパーツだけ見つからない」
「イベント前に作りすぎて、同じ商品が残ってしまった」
「委託先へ何個送ったか、手元の在庫と合わなくなった」
ハンドメイドの在庫管理は、すべてを細かく数えることから始める必要はありません。まず、在庫を 材料・制作中・完成品・販売先に預けた商品 に分けます。そのうえで、次の制作や補充を決めるために必要な数だけ記録します。
この記事では、手書きでもスプレッドシートでも使える在庫管理表の項目と、更新するタイミングを紹介します。売上や仕入れまで一つの表にまとめたい方は、先に無料の売上管理スプレッドシートも確認してください。
本稿で扱うのは、材料・制作中・完成品・委託先の「数量と移動」です。売上金額、材料費、会計、アプリ比較は上の記事に分け、同じ内容を重ねません。
この記事でわかること
- 材料、制作中、完成品、委託在庫を分ける理由
- 在庫管理表に最低限入れる項目
- 手書きとスプレッドシートの使い分け
- 在庫数を更新するタイミング
- 記録した数字を制作数と補充へつなげる方法
在庫は4つに分ける
ハンドメイドの在庫は、完成品だけではありません。最低限、次の4種類を分けます。
| 区分 | 例 | 管理する目的 |
|---|---|---|
| 材料 | 金具、布、糸、ビーズ、台紙 | 制作できる数と補充時期を決める |
| 制作中 | 組立途中、乾燥中、検品前 | 作業の重複や作り忘れを防ぐ |
| 完成品 | 販売できる状態の商品 | 販売場所へ割り当てる |
| 販売先在庫 | 委託店、イベント持込、倉庫 | 手元にない商品の場所を把握する |
材料と完成品を同じ「在庫数」で扱うと、何を補充すべきか分からなくなります。たとえば完成品が5点あっても、特定の金具が切れていれば次の5点は作れません。反対に材料が多くても、完成品が販売場所に偏っていれば販売機会を逃すことがあります。
最初は4区分すべてを完璧に数えず、困っている場所から始めましょう。
- 材料切れが多い: 材料と補充目安
- 作りすぎが多い: 完成品と直近販売数
- 委託数が合わない: 販売先、納品数、返却数
- イベント準備で迷う: 完成品、持込数、終了後残数
在庫管理表に入れる項目
完成品の管理
完成品は次の7項目から始めます。
| 項目 | 入力例 | 使い道 |
|---|---|---|
| 商品コード | ER-001 | 同名・色違いを区別する |
| 商品名 | 淡水パールイヤリング | 人が読んで分かる名前にする |
| 種類・色 | ゴールド / 白 | バリエーションを区別する |
| 保管場所 | 自宅ケースA | 探す時間を減らす |
| 手元在庫 | 3 | 今すぐ販売できる数 |
| 販売先在庫 | 委託店A: 2 | 預け先と数量を分ける |
| 補充目安 | 合計2以下 | 次の制作を決める |
商品コードは、最初から複雑にしないことが大切です。「種類の略称+連番」だけでも、写真、売上、在庫を結びやすくなります。
材料の管理
材料は、すべてを1個単位で数えると続かなくなることがあります。制作を止める可能性が高い材料から記録します。
| 項目 | 入力例 | 使い道 |
|---|---|---|
| 材料名 | イヤリング金具A | 何を数えるか固定する |
| 購入先 | 仕入先B | 再注文先を探しやすくする |
| 保管場所 | 材料ケース2 | 探す時間を減らす |
| 現在量 | 20個 | 制作可能数を見積もる |
| 1商品あたり使用量 | 2個 | 何点作れるかを見る |
| 補充目安 | 残り10個 | 欠品前に注文する |
| 最終更新日 | 2026-10-01 | 数字の古さを判断する |
細かなビーズを毎回数えるのが難しい場合は、「未開封1袋」「半分」「補充必要」のような段階でも構いません。重要なのは、判断に使える粒度で続けることです。
手書きとスプレッドシートの選び方
| 方法 | 向いている状態 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 手書き | 商品数が少なく、保管場所の近くで記録する | すぐ書ける。電源不要 | 合計や履歴を見返しにくい |
| スプレッドシート | 販売先や商品数が増えた | 検索、集計、共有がしやすい | 項目を増やしすぎると入力が止まる |
| 併用 | 制作場所では紙、月末に集計する | 作業中の速さと振り返りを両立 | 転記日を決めないと数字がずれる |
「どのツールが一番よいか」より、在庫が動いた時に更新できるかで選びます。スマホで入力したい場合も、最初に必要な列を決めてからツールを選ぶと迷いにくくなります。
売上管理アプリ、Excel、手書き台帳まで比較したい方は、ハンドメイド作家の売上管理方法を確認してください。
在庫を更新する5つのタイミング
在庫管理が合わなくなる原因の一つは、更新タイミングが決まっていないことです。まずは、次の5回を記録のルールにします。
- 材料を仕入れた時
- 制作を始めた時、または完成した時
- 商品が売れた時
- 委託先へ納品・返却された時
- 月末またはイベント終了後に実数を確認した時
毎回すべての列を更新する必要はありません。たとえば制作時は材料を減らし、完成品を増やす。販売時は販売場所の完成品を減らす。この動きを決めておけば、数字がずれた場所を探しやすくなります。
委託販売は「移動」と「販売」を分ける
委託先へ商品を送った時点では、商品は売れていません。手元在庫から委託先在庫へ移動した状態です。
- 納品: 手元 −5、委託店A +5
- 販売報告: 委託店A −2、売上 +2
- 返却: 委託店A −3、手元 +3
この3つを分けると、「送った数」と「売れた数」を混同しにくくなります。委託先の選び方や納品管理全体は、ハンドメイド委託販売の始め方で確認してください。
月末に見る数字は3つ
在庫表は記録して終わりではありません。月末には次の3つだけを確認します。
- 補充目安を下回った材料
- 直近で売れたのに在庫が少ない商品
- 一定期間動いていない商品
動いていない商品を見つけても、すぐに値下げする必要はありません。販売場所、写真、商品説明、季節、在庫の置き場所を確認します。変更を一度に重ねず、次に試す項目を一つ決めます。
価格と原価の考え方はハンドメイドの価格設定、販売結果の見方は最初に見るべき数字で詳しく整理しています。
よくある質問
在庫は毎日数える必要がありますか?
毎日すべてを数える必要はありません。在庫が動いた時に記録し、月末またはイベント後に実数と合わせます。ずれやすい商品だけ確認回数を増やします。
材料の小さなパーツも1個ずつ数えますか?
制作を止めやすい主要材料は個数で、それ以外は袋・重量・残量段階で管理できます。細かさより、補充判断に使えることを優先します。
売上管理表と在庫管理表は分けますか?
販売数が少ないうちは一つのファイル内でシートを分ける方法が扱いやすいです。商品コードを共通にすると、売上と在庫を結びやすくなります。入力が複雑になる場合は、先に必要な判断を減らします。
確定申告の帳簿として使えますか?
在庫管理表は制作・販売判断の補助です。税務上必要な帳簿や棚卸しの扱いは、事業の状況によって異なります。確定申告に使う場合は、税務署・税理士などの専門家と最新の公式情報を確認してください。
まとめ: 数えるためではなく、次に作る数を決める
ハンドメイドの在庫管理は、材料・制作中・完成品・販売先在庫を分けるところから始めます。完璧な表を作るより、仕入れ、制作、販売、納品・返却、月末確認のタイミングを決めることが重要です。
最初の一歩は、主力商品を3つ選び、商品名、保管場所、手元在庫、販売先在庫、補充目安だけを記録することです。数字が合わない場所が見えたら、そこだけ項目を足します。
商品コード、現在庫、補充目安、入庫・出庫、棚卸しを表で始めたい方は、無料の在庫管理テンプレートを受け取るをご覧ください。フォームで「在庫管理テンプレート」を選び、メールアドレスを入力すると、送信後にダウンロードページが表示されます。